サブスクという存在がかなり一般的になっているけれども、今まで私は何ひとつ登録したことがなかった。音楽も映像も、月額いくらを払えば見放題だというのは魅力的に聞こえたけれども、別にそれらにそんなに興味もないし、私みたいな人間は「あぁ結局、個別にお金を払う方が安かったなあ」となってしまうのではないかとこのシステムに疑心暗鬼になっていたのである。
そんな私が1ヶ月間『U-NEXT』に登録して、そして31の作品を観た。【半沢直樹エピソード0】の中に出てくるとある数字がどうしても知りたくて、そのシーンの切り抜きも転がっていなければ、調べても出てこず、U-NEXTで作品を観るしか手段がなかったのだ。
1ヵ月の無料期間があるので、その数字を手に入れたらすぐに解約してしまえば良いと思っていたけれど、半沢直樹が終わった時、まだ無料期間が残っているのに解約してしまうことが惜しくなって、楽しむことにした。そうしたら1ヵ月で31作品を観ていた。
動画系のサブスクに興味がなかったのは、テレビで宣伝を観ても、漫画の実写化やまるで売り出したいタレントのPVのような作品ばかりで観に行きたくなる邦画が滅多になかったというのも理由だったりする。
だけどそうじゃない作品が実はいっぱいあった。【彼らが本気で編むときは、】や【聖の青春】は特に良いと感じたし、【さかなのこ】もチャーミングで愛おしい作品だった。
海外作品はネットでオススメされていた【きっと、うまくいく】(インド映画)から始まり、観たかったけど観に行けなかった【ターミナル】を観て、そこから出演者で作品を選び、最終日にはワードだけはどこかで聞いたことがある気がする【ベンジャミン・バトン】を観た。
洋画(字幕)を観るようになって気付いたことは、邦画を全然ちゃんと観ていなかったということだ。スマホを触っていたり、気が散っていたり、画面を見ていなかったり。字幕だと目を離すわけにはいかないので、洋画を観て作品に集中するという経験を久しぶりにした気がする。あとは役者のパーソナルな面を知らないだけで、こんなに純粋に作品を楽しめるものなんだなと思った。
そんなこんなで無料で31の作品を楽しんだ。得をしたいという関西人の血が騒いで、優雅でゆったりとした映画生活とはいかなかったけれど、夢中になれた作品もあってなかなかに楽しい1ヶ月間だった。作品だけでなく、観終わった作品の映画評を読むのもまた楽しかった。しかしながら、ほぼ毎日1本の作品を観る時間を捻出するのはそれなりに大変で、いくら関西人と言えど、あまりに強欲すぎるペースだった。